マーケティングの作法 ―― 施策の前に構造を
マーケティングは施策ではなく構造の設計。ファネルを理解し、ディレクター・フロント・バック・運用の4つの役割を、予算がなくても順番どおりに揃える方法。
「広告を出せば売れる」「マーケターを入れれば伸びる」
この二つを信じている社長諸兄は、群を抜いて多い。そして群を抜いて、予算を溶かしておられる。
そこで本稿では、中小企業におけるマーケティングの始め方を、小生が記したく思う。
さて。早速始めてまいりましょう。
先ず心得ていただきたいのは、マーケティングとは「施策」ではないという事である。「構造の設計」である。
ここを取り違えると、こうなる。
広告を打つ。売れない。
人を雇う。機能しない。
予算だけが溶ける。
典型としては「とりあえず一人雇う」であろう。広告の運用担当やSNSの担当を一人入れて、「あとはなんとかして」。……無理に決まっておる。小生がその一人なら、三日で茶をすすり始める。
では構造とは何か。
最低限、ファネルを理解しておかれたい。顧客が商品を知り、興味を持ち、比べ、買う。認知、興味、比較、購買という流れである。
この流れのどこに課題があるのか。どこに金をかけるのか。どうなったら成功とするのか。これを決めるのがマーケティングである。
次に、人の配置である。
マーケティングは個人の芸ではない。チームの設計が前提である。最低限の構成は次の四つ。
・ディレクター:構造を設計する
・フロント:顧客との接点を設計する
・バック:データや顧客管理を担う
・運用:実際に回す
どれか一つ欠けても機能しない。つまり「一人でやる前提」がそもそもおかしいのである。
さて、ここで社長諸兄の声が聞こえてくる。
「そんな予算はない」
その通りである。だからこそ、順番が大事になる。
- まず構造を理解する
- 次に小さく設計する
- その後で人を入れる
やってはならないのは、この順番を飛ばして「うまくいったら予算を出す」と構えることである。この時点で失敗は確定しておる。予算も設計も無いものがうまくいく道理が無い。
それでも社内で四つを揃えるのが厳しければ、外注で代用して先ずは運用を走らせればよろしい。
・ディレクター→代理店
・フロント→制作会社
・バック→顧客管理(CRM)のベンダー
・運用→社内の各担当に分ける
ただし、ここに一つだけ条件がある。全体の構造を社長が理解し、自ら指揮を執ることである。外注を四つ並べても、繋ぐ者がいなければ四つの請求書が届くだけである。
マーケティングは魔法ではない。理解せずに使えるものでもない。施策の前に仕組みを作る。そこが肝である。
如何かな、社長諸兄。次に広告の営業が来たら、契約書より先に、自社のファネルを紙一枚に書いてみては。